付加価値のつけかた 最高のUSPとは

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付加価値

という言葉からどんなことを連想されますか?
これは簡単に言ってしまえば、

本来主張すべき価値に、何か別の価値を与えること

ということになります。
自動車でいえば、本来の価値は「きちんと走ること」。
それに加えられた「快適性」や「豪華さ」が付加価値です。

なにか商品を売るときには、必ず付加価値を意識することになります。
これを意識しないで、ただ商品に向き合っているのが農協出荷の農家。
作物本来の価値である「食べ物」であることを満たす以外の価値がないから、誰が育てたものなのか分からないし他と違った特徴がない、だから安く買いたたかれて農家の収入が少ないという悲惨な状況が生まれています。

大量生産によって薄利多売路線を走るなら、それでもかまいません。
でも、小さな農家はこの道を走ったらダメです。
薄利多売は規模の大きさでほとんど勝負が決まってしまうので、小さな農家が立つべき土俵ではありません。

小さな農家は、必ず付加価値を考えなければなりません。
自分が育てた大切な農産物に付加価値をつけて、もしくは付加価値を見出して、それを買ってくれる消費者にしっかりと伝えていく。
そういう作戦が必要です。

今回は、商品である農産物に、どのような付加価値をつけていけばいいのか。
そういった話になります。

 

USPとは何か

USP

商品の付加価値を考えるときに、マーケティング用語としてUSPという単語が使われます。
ユニーク・セリング・プロポジション。
読み方はユーエスピー。
日本では、「独自の売り」あるいは「独自の売りの提案」という表現になります。

ようするに、

他とは違う特徴があって、それが顧客の欲求を満たすもの

だということです。

なぜ付加価値を考えなければならないかといえば、競合する他の商品との違いがなければ売れにくいから。
もしくは高く売れないから。
そしてそれは、顧客に求められている付加価値じゃないと意味がありません。
いくら特徴的でも、必要とされてなければ付加価値にはならないということです。

付加価値は二つの側面、他にない特徴と顧客の欲求を満たすこと、これらを意識しなければならないことを覚えておいてください。

 

さてここで。
USPを作っていくとき、つまり自分の商品に付加価値をつけていくときには、いくつかのパターンがありますので先にそれを紹介していきます。
そして最後に、小さな農家が作るべきUSPについて触れていきます。

 

商品によるUSP

ズッキーニ

USPでもっとも分かりやすいのが、商品の特徴そのもので差をつけるというパターンです。

味、見た目、鮮度、栄養価、安全性など。

とにかく品質にこだわって、美味しいキャベツを育ててます。
施肥する肥料の種類や量にこだわって、栄養価が高くてミネラル分が豊富なトマトをつくってます。
無肥料、無農薬で安全性には自信があります。

など。
分かりやすいだけに誰もが取り組むUSPですが、基本的には商品そのものにUSPをつけようとすると高い栽培技術が求められることが多いです。
商品の質を高める行為ですからね。
でも。
その路線は、経験年数の豊富な熟練農家がひしめく激戦区へ突っ込んでいくようなもの。
腕に自信があるならやってもらってかまいませんが、必死でがんばったわりに差別化になってないことも多いです。
新規就農者や駆け出しの農業者にはちょっと難しいUSPと言えるかもしれませんね。

 

市場を意識したUSP

戦後まもないころの食料難と違って、現代は食の多様化が進んでいます。
ただ空腹を満たすための食べ物ではなく、美味しさや珍しさを求めたり、生食用と加工用というように用途が違ったり、一人暮らしに優しい使い切りミニサイズの需要があったり。
とにかく安ければいいという消費者がいる一方で、高品質なら高くても買うという消費者もいます。
ニーズが多様になっています。

この多様なニーズに合わせた付加価値を考えることも、立派な差別化になります。

日本では扱いが少ない西洋野菜(フェンネル、コールラビ、アーティチョークなど)をメインに栽培する。
ホワイトアスパラ、紫人参、生食用カボチャ、食用ホオズキなどあまり市場に出回らない珍しい品種を扱う。
近年のパクチーブームなど、流行に敏感に反応してニーズに応えていく。

というように、多様な市場ニーズを意識して、大規模農業では拾っていけないようなニッチなニーズを満たしていくのは、小さな農家が作りやすいUSPです。

この場合、ニッチであるがゆえに販売が難しいという問題はあります。
まとまってドーンと出荷できるだけの売り先が見つかればいいですが、散らばっている小さな需要を拾い集めることになることが多いからです。
自分の商品は自分で売っていく。
その姿勢が必須になってくるでしょうね。

 

生産者アピールによるUSP

商品の価値は、どんどんプラスしていくことができます。
商品そのものの価値を上げていく、と表現してもいいかもしれません。

分かりやすいのはパッケージングでしょうか。
包装している袋にラベルを貼って、そこにイカしたネーミングをつけたり特徴的な売り文句が書いたりすれば目を引きます。
トマトを桐箱に入れてふわふわの綿で包んであげれば、高級感が漂って贈答にぴったりな商品になります。
そのラベルに名前や顔写真がのっていて、透明性をアピールするのはよくある手法ですね。

 

ズッキーニ

この生産者アピール。
商品にプラスする付加価値としては、小さな農家がもっとも取り組みやすいUSPだと思います。
食の安全に対する不安が高まっている昨今では、どんな生産者がどんな想いで、どのように育てているのか、といった情報は強く求められています。
生産者情報は強いUSPになるんです。
たとえば、芸能人のように強力な知名度があると商品を売りやすいですよね。
それは、買いたい人が生産者を知っているので、商品に付加価値がついているということ。

自分は芸能人じゃないから無理だ、そんな話ではなくて。
たとえばインターネット上にホームページを持って、そこで生産者の素性や想い、栽培へのこだわりを語っておけば、それをみた消費者は付加価値を感じて購入してくれるかもしれません。
ただ商品が並んでいるだけじゃなく、商品にプラスアルファの価値がくっついているから売れやすいんです。

このUSPは、たとえ栽培がヘタクソでも作れます。
情報という付加価値ですから誰でも作れます。

 

販売方法、広告媒体によるUSP

直売野菜

競合が使っていない販売方法や広告媒体を使って売ることで、競合と比較されないで売ることができます。
楽天市場やヤフーショッピングなどに出店することを想像してみればわかると思いますが、競合店舗が多すぎて大変ですよね。
ほかの店と比較して、安いほうを選ぶのは消費者行動としてはふつうです。
とにかく比較されやすい販売方法は危険。
安売り競争になりかねません。

地元の直売所などに出品するときでも同じことが言えます。
多くの生産者が同じような農産物をずらりと並べていれば、比較して安いものが選ばれたりとか見た目のよさそうなものが選ばれがち。
競争が激しい。
そうすると価格競争になったり、見た目をよくするための余計な手間ヒマ(栽培の工夫、過剰包装など)がかかってしまったり。
方向としてはよくない。

 

販売方法や広告媒体でのUSPには他にどんなものがあるか。
たとえば。
顧客にスマホで買い物をする習慣があるのに、スマホ対応しているホームページが少ない。
そういうときにいち早くスマホ対応すれば、競合が少ないですよね。

軽トラックで引き売りするとウケがいいならやってみる。
facebookで広告を出している農家が少ないならそこへ切り込む。
きれいにレイアウトされたフルカラーのチラシが一般的なら、あえて手書きでモノクロのチラシを作ってみる。

といったように、競合が採用していない販売方法や広告媒体をうまく使っていくことで、それが付加価値となって売りやすくなることがあります。
とはいえこのUSPはあまり独自性を出しにくいですね。

 

小さな農家にマッチするUSPは?

ここまで4つのUSPを紹介してきましたが、どれが正解というものではありません。
自分にあったやり方があります。

おさえておくべきなのは、

真似できないことが重要

だということ。

小さな農家は、ちょっと風が吹けば飛んでいってしまいそうな弱い地盤に立っています。
大規模農家、大手業者が真似できるようなUSPではまったく差別化になりませんし、それは付加価値ではありません。
小さいからこその付加価値をつける。
という意識が必要です。
そういう意味では、

生産者情報をどんどん発信していく

ニッチ市場を攻める

という2点は採用しやすいUSPではないでしょうか。
参考になれば幸いです。

 

 

 

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