販売には戦略が欠かせない 売れ続ける仕組みの作り方

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生産だけでなく販売も意識するのが、時給3000円で農業経営していく基本中の基本です。
が、一口に販売と言っても奥深くて漠然としていますのでまずはその辺りについて噛み砕いて詳しく解説していきます。
今回は商品ラインナップについて、販売には戦略が欠かせないという話になります。

 

そもそも販売とは何か

販売を分かりやすく言うと次のようになります。

広告 → 集客 → 営業 → 販売

実際に商品を売ってお金を頂く、という工程だけではなく広告を出した営業をかけたりすることも含めると販売促進活動、いわゆる販促です。

まずはマスメディアに広告を出したりチラシを配ったりして集客をする。
次に、その集客してきたお客様に対して営業をかけて商品を販売をしていく。
といった流れになりますが、つまりは

広告 → 集客 → 営業 → 販売

の順番になります。
ではここで、この工程の中で一番難しいのはどこか分かりますか?


とにかく難しいのが集客です。
広告を打っても人が寄って来てくれるとは限りませんし、お金をかけずに集客しようとすればブログやホームページを自分で作っていくことになるなど労力がかかります。
じつは一番最初の入り口が一番難しいんです。

この木なんの木

ちょっと考えてみてほしいんですが。
日本国民全員が知ってるような有名な大企業であっても、いまだにお金をかけて広告を出しているのはなぜでしょうか。
それは集客が一番難しいことを知っているからです。
集客し続けなければ生き残れない、もっと言うと新規顧客を獲得し続けなければ商売は成り立たないということを大企業が教えてくれています。

生産と同じくらい販売は大切だとよく言いますが、厳密には売る行為そのものを指しているわけではなくて集客部分、いかにして来店してもらうか、どのようにして自分のことを知ってもらうか、そこが重要になります。

 

農家の勘違い いいものが売れるわけじゃない

農業者の中には、いいものを作れば売れると思っている方が非常に多いです。
これは大きな間違い。
そういう時代も以前にはありましたが、モノがあふれる現代では通用しない考え方になっています。

いいものが売れるわけではなくて、いいと思ってもらえたものが売れる。

言葉遊びのように聞こえるかもしれませんがこれは言っていることが全然違います。
大きな違いは目線です。
「いいものが売れる」というのは、生産者の立場から売ることを考えています。
買ってくれる人は誰なのかを考えずに、とにかく商品だけをみています。
一方、「いいと思ってもらえたものが売れる」は顧客目線が含まれます。
商品そのものの価値よりも、顧客が満足できるかどうかを考えているんです。

いいものを作りたい。
美味しい野菜を育てたい。
その気持ちはよくわかりますし、農業者としてその気持ちは絶対に持っていなければいけないとも思います。
でも。
農協出荷のように生産だけに集中していたら利益率の低い事業にしかなりませんし、利益が薄いならたくさん売って収入を増やすしかありません。
そうなると栽培面積が増えて諸経費が増えますし、労働時間だって増えてしまいます。
しっかりとした収入を得ながら週休3日労働を実現するためには、自分で育てたものを自分で売って多くの利益が手元に残るようにする必要があるんです。
だからこそ。
作ることだけじゃなく売ることも考えてほしいと思います。

食べてもらえば分かるんだ。
おいしければ高く売れるし買ってもらえる。

そんなのは神話です。
たしかに美味しければ続けて買ってもらえることもあるでしょうけど、そもそも食べてもらうためには存在を知ってもらわないといけませんし、おいしさは主観的な指標なのでおいしいと感じるかどうかはその人次第です。
まずは手に取ってもらうための努力をする。
いいものだと思ってもらうためにはどうしたらいいのか、そもそもたくさんの人に自分の存在を知ってもらうためにはどうしたらいいのか。
そこに意識を向けると、販売も自然と意識するようになります。

具体的にいうと、

  1. 情報を整理する。
    自分はどのような人間で、どんなこだわりをもっているのか、栽培にどんな想いがあるのか、どんな特徴を持った商品なのか、まずは商品とそこについてくる付加価値の部分を整理する。
     
  2. 情報を発信する。
    そしてそれを、チラシに落とし込んで配ってみたり、ブログやホームページまたはFacebookなどのSNSで投稿してみたり、Youtube動画で伝えてみたりする。

 

この時点ではまだ売り込んだりしません。
とにかく知ってもらうこと。
「いいと思って買ってくれる人」は知ってもらったうちの一部ですから、まずは多くの人に知ってもらわないと話になりません。
いいものをつくって、その価値を伝える。
自分で育てたものを自分で売るんだから、これってじつは簡単なことですよ。
だって農家はいいものをつくろうと努力してるんですから。

 

売れるものと売れ続けるものは違う

いいものを作って、その価値を伝える。
そして買ってもらう。
これは実は販売の第一ステップにすぎません。
だって安ければみんな買ってくれますよ。
誇大表現で商品をものすごくよく見せたら高くても買ってくれる人はいますよ。
でもそれって、長続きしません。

せっかくこだわって育てた農産物だから、農協に出荷せずに自分で売った。
そこまではOK。
でも低価格で売りさばいていたら結局は薄利多売で意味がありません。

逆に。
ほんとうはそれほどの価値がないのに、うまく表現して商品をよく見せたら一回は高くても買ってくれるかもしれません。
でもそんな売り方では二度目は買ってくれませんし、長く安定した商売になりません。

価値を感じた人から適正価格で買ってもらえる、しかも何度も買ってもらえる。
つまり売れ続けることが重要になってくるんです。


ではここで。
安さではないところに価値を感じて買ってくれるお客様を見つけるにはどうしたらいいでしょうか。
何度も続けて買ってくれるにはどうしたらいいでしょうか。

価値を認めて買ってくれる顧客を見つけることは容易ではありません。
さらに何度もリピートしてくれるにはそれなりの工夫が必要になります。
ではどうしたらいいでしょうか。
どんなコツがあるんでしょうか。
売り方の詳しいコツについては話が脱線するので今回やめておきますが、広く集客してそこから価値を認めてくれる人に売っていく、そしてリピートしてもらうという流れが絶対に押さえておきたい仕組みになります。
そこで参考になるのがインターネットビジネスです。
商品を手にとって確認することができないインターネットの世界では、商品の価値をどのようにして伝えていくのかを非常に重要視しているからです。

 

ネットビジネスの成功方程式

 ネットビジネス

インターネットビジネスの世界で利益を出す基本的な考え方は

アクセス数 × 成約率 × LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)

という数式で表されます。
自社のホームページに多くのアクセスがあり、そこから商品を買ってくれる人の割合が高くて、しかも何度も購入してくれたり高額な商品を買ってくれる。
インターネット上ではそのようなウェブサイトがあれば確実に利益を出していけます。

たとえば。
ホームページへ1日に100人からのアクセスがあったとして、そのなかから1人が商品を購入してくれたら成約率は1/100なので1%です。
LTVは1人の顧客が生涯に(1年とか3年とかでいいですが)どれくらい商品を買ってくれるかという指標で、1回で2000円の商品を買ってくれたとしても毎月定期的にその商品を買ってくれたら顧客単価は1年で24000円になるわけです。
ということは。
毎日1人が2000円の商品を購入してくれて、その人たちがみんな月一のリピーターになってくれたとしたら・・・。
1ヶ月後には2000円×30日=6万円
今月は6万円の売り上げが見込める、という確約が生まれることになります。
これを続けていくと、
1年後には365人の月一購入リピーターが生まれることに。
2000円×365日=73万円
ホームページを持っているだけで毎月73万円の定期購入がある安定したビジネスに成長していることになります。

アクセス数 × 成約率 × LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)

この考え方は是非とも覚えておいてほしいと思います。

 

フロンドエンドとバックエンド

ところで。
さきほどはリピート購入によって顧客単価が24000円になっていました。
でもお客様の立場になってみればわかりますが、いきなり定期購入を希望するのって普通に考えればちょっと抵抗がありますよね?
まずは試しに買ってみないとわからない、ってやつです。

ビジネスの世界では、この顧客心理もちゃんと利用されています。
流れとしてはまずは低額商品(集客商品)を用意して多くの人に手に取ってもらう。
広く知ってもらう。
次に、買ってもらった人の中から気にいってくれたファンを見つけて、その人に高額商品を売っていく、もしくは定期購入を勧める。
ここでいう定額商品はフロントエンド、高額商品はバックエンドと呼ばれています。

ビジネスでは、フロントエンドとバックエンドを組み合わせてしっかりと利益を出せる仕組みを作っている企業がたくさんあるんです。

 

事例紹介

キューサイ

有名な事例としては、青汁でおなじみのキューサイという会社があります。
健康食品というのは続けて買ってもらいやすい商品ですが、まず手に取ってもらって食べてもらうことが最重要の課題になります。
だからキューサイは「初回47%OFF」などとキャンペーンを打ったりして初回購入の壁を低くしています。
バンバン広告を打ってアクセスを集め、そこでまずは集客商品(フロントエンド)を買ってもらう。
最終的には定期購入(バックエンド)してもらってLTVを高めていく、そんなビジネスモデルになっています。

 

らでぃっしゅバナー

これは自然食品宅配サービスでも同じです。
オイシックスやらでぃっしゅぼーや、大地を守る会などは

お試しセット1980円

といった商品を用意しており、本来なら5000円くらいするようなものを破格の値段で販売しています。
フロントエンド(お試しセット)を買ってもらって、気にいった人たちにバックエンド(定期購入)を売っていく。
キューサイのモデルと同じですね。

他にも有名なところでいうと無料お試しCDでおなじみスピードラーニング、社長のためのビジネス洋書を扱うダイレクト出版、あたりがモデルとして参考になるかと思います。

 

事例から見えてくる販売戦略

個人もしくは家族で経営をしていく農家が、大企業と同じ戦略を取る必要があるのか疑問に思うかもしれません。
でも、たとえ小さくても農家は事業体です。
大企業の戦略を参考にして小規模農家モデルへアレンジするというのは、儲からない農業からの脱却の第一歩だと思ってください。
というより、優良経営をしているそのモデルを真似をすることは、小さくても強く生き残るための必須条件ではないでしょうか。
では具体的に農家はどんな戦略をとるべきなんでしょうか。

順番としてはまず最初に高額商品・高利益商品を作ってください。
これがなければ週休3日&時給3000円農業は実現できません。
例えば1個1万円する高級メロンだったり 1粒100円の食用ほおずきだったり、国内では流通量が少ないコールラビやフェンネルだったり。
これをじゃんじゃん売ったら儲かるよね、という商品を作っておくんです。
とはいえ農産物の場合、高額商品を用意するのはあまり現実的ではないですよね。
もともとの単価自体が低いですから。
だから高額商品という見方を変えて、リピートしてもらうことで顧客単価を上げていくというふうに考えてみてください。
2000円セットでも顧客単価は1年で24000円、さっき書いていたあれです。
野菜セットであれば10種類詰め合わせると普通に2000円くらいになります。


次に。
そんなに高いとなかなか手が出ないよねとか、それ食べてみないと分からないよねという人たちに対して価格を抑えた商品を用意して(キズもの、少量パック、試供品など)たくさんの人に手に取ってもらう。
いわゆる集客商品を考えます。
リピート商品の例でいくと、定期購入はハードルが高いからお試しで一回買ってもらうための割引商品を用意する。
まずたくさんの人に手に取ってもらうことを最優先するために、赤字になってもいいから低額商品もしくは無料の商品を考えておくんです。
栽培にこだわる農家の常套句である
「食べてもらえば違いがわかる」
を形にするには、とにかく食べてもらうために手に取りやすいように敷居を低くしておく必要があります。

高額商品と集客商品の組み合わせ。
まず広くたくさんの人に買ってもらって、買ってくれたお客様の中からファンを見つけて、高額商品も買ってもらう。
という流れ。
この流れが確立できれば大企業だろうが家族経営の農家だろうが経営は安定します。

らでぃっしゅぼーやオイシックスが採用している「お試しセット + 定期購入」という手法、ぜひ取り入れてみてください。

多くの有名企業がフロントエンドとバックエンドの組み合わせを採用しているという事実は、見逃さないようにしてほしいと思います。

 

クロスセルとアップセルで単価を上げる

他にも高利益を出すための販売戦略があります。
それがクロスセルとアップセルです。

特売セール

スーパーの特売品って安いですよね。
あれはとにかく来店してもらうための客寄せ商品であり、特売品だけをみれば赤字覚悟の商品です。
でも、来店してもらえさえすれば流れで他の商品も買ってもらえますから、売り上げは増えますし顧客単価も上がります。
この手法はクロスセルと呼ばれていて、いわゆる抱き合わせ販売といったようなものです。
農家に当てはめるなら・・・。
味噌や漬物、米や大豆を野菜と組み合わせるなど商品ラインナップを増やしていくことがクロスセルに近いかと思います。


アップセルは商品そのもののグレードを増やすことです。
クロスセルでは違った商品を抱き合わせて買ってもらう手法ですが、アップセルは同じ性質の商品のラインナップを増やす手法ですので、複数個買ってもらうことが目的ではありません。

通常商品のほかに贈答用、特別仕様を用意しておくといった感じでしょうか。

たとえば自動車。
69.5万円~と最下級グレードで安さをアピールしておいて、快適なオプションをいろいろつけてグレードを上げていくと結局100万円を超えました。
という手法。
商品ラインナップにグレードという幅を持たせて、高額商品に誘うという販売です。

ホテルなどもよく使う手法です。
どこかのホテルに泊まるときにいくつも部屋をとる人はほとんどいません。
一部屋あれば充分です。
だからスイートルームやVIPルームなど特別な部屋を用意して顧客単価を上げる。

これがアップセルです。
農家がこれをやるとすれば、通常の野菜のほかに贈答用の特別仕様品を用意しておくとか、慣行農法・有機農法・自然栽培それぞれに栽培した米を商品ラインナップとして持っておくとか、そんな感じでしょうか。

 

売れ続ける仕組みを持つことがなによりも重要

できた農産物を農協に持っていく。
市場に出荷するもしくは直売所で売る。
それだけでは大きな結果を残すことは難しいです。
とにかく数をこなせば売上にはなりますが、時給計算してみるととんでもない数字だったということになりかねません。

商品に付加価値をつけて、多くの人に自分の商品を知ってもらいながら、フロントエンドとバックエンドを組み合わせて、利益が出るように売っていく。
さらには、顧客単価を上げるためにアップセルやクロスセルを採用する。
販売とはこのように戦略的に行うべきものです。

農業は馬鹿でもできる。
そんな時代はとっくに過ぎ去ったことをしっかりと頭に入れておいて欲しいと思います。

 

今回のチェック

●自分の農産物にはどんな付加価値をつけられるのかを考えましょう。

●フロントエンド(集客・低額商品)とバックエンド(高利益・高額商品)を組み合わせて商品ラインナップを作ってみましょう。

●単価を上げるためにアップセルやクロスセルを採用できるか考えてみましょう。

 

 

 

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