あえて言うまでもなく。
記録をつけることの重要性は、いろんなところで言われています。
頭で覚えていられることなんて限られているし、栽培記録をつけておけばあとで見直すことができるから役に立つ。
完璧なものじゃなくても、作業日誌みたいなものをつけている農家はけっこういるようです。
もちろん面倒です。
農繁期などはブログを書くなんて面倒くさくてできないし、作業日誌も栽培記録もつける気にならないほど忙しかったりします。
記録することが大切だと分かっていても出来ない。
そういう状況もあります。
でも。
やっぱり記録することは大切です。
記憶に頼りすぎるのはやめたほうがいい。
記録より記憶、をよしとするのはミスタージャイアンツ長嶋茂雄氏くらいにしておきましょう。
情報は保管場所と処理速度が大切
そもそもですが、記憶には限界があります。
24時間経つと新しく覚えたことの7割くらい忘れてしまう、と言われるくらい人間の脳は忘れることが得意です。
だからこそ、せっかくれた経験を風化させないためにも記録をすることが重要になってきます。
自分の書斎とか会社のデスクなどをイメージしてみてください。
机があって、その上は作業スペースになっていますよね。
書類や本などは、本棚などの収納スペースに置かれていますよね。
そこでの仕事ぶりは。
デスクの作業スペースを使って仕事の進め、必要であれば収納されている書類や本などを取り出してきて調べます。
調べ終われば、また本棚に戻す。
このように。
処理する情報は、現在進行形の作業スペースと保存しておくべき収納スペースに分かれています。
そして、作業スペースではそこにおかれている情報はどんどん入れ替わっていきますが、収納スペースは時々整理されながら情報がどんどん蓄積されていきます。
この様な情報処理はパソコンの中にも見られます。
パソコンにはデータを記録しておく記憶装置というものがあって、一般的にはRAM(ラム)とROM(ロム)に分けられます。
RAMは一時的な記憶装置のことで、電源を切ると内容が消えてしまうという性質を持っていますが、情報の処理速度が速いという特徴を持っています。
ROMはデータを保存しておく記憶装置だと思ってください。
ハードディスクやDVD、USBメモリなどがこちらに該当します。
ROMは電源を切っても内容が保持されるので記録を残しておくときに活用できますが、情報の処理速度はそれほど速くありません。
先ほどのデスクの例でいくと、RAMが作業スペースでROMが本棚ですね。
パソコンは、このRAMとROMをうまく使い分けることで情報を処理しています。
人間の脳にも、もちろんRAMとROMのようなものは存在します。
情報を高速処理する領域もあれば、記憶にとどめておく領域もある。
おそらくパソコンなどよりもっと複雑な回路をしていることでしょうね。
その人間の脳には限界があります。
人によりますが、情報を処理する能力には限りがあるんです。
処理する速度もそうですし、記憶しておく量だってそう。
だからこそ。
脳だけに頼らず、ハードディスクやDVD、USBメモリのようなものをうまく活用した方が、情報処理がスムーズにいきます。
すべてを頭の中に詰め込んでおくよりも、文字にしたり絵にしたり、写真等の画像にしたり、音声で記録したり、映像を残したり、なにかしらの形で保存しておけば、頭の中から消してしまってもその情報は残りますしいつでも引き出すことができます。
情報は形を変えて記録する
では実際にはどのような情報を蓄積していけばいいのでしょうか。
結論から言ってしまえば、それはありとあらゆる情報です。
栽培に関する記録、播種日や播種量、栽培面積、施肥量、管理記録、収穫日、天候など。
販売上の記録、売上や顧客情報、出荷量、単価など。
作業ごとの労働時間。
農業機械の部品型番。
タネの品種、購入量。
資材規格、価格。
全て記録しておくことは大切なことです。
記憶に頼ってはいけません。
そして、記録した情報は活用しなければ意味がありません。
記録する手間を考えたら、活用できないものをわざわざ時間を使って記録するのは無駄ですから。
だから、どのように活用するか、いつ活用するかについては、記録する時点で明確に分かっている必要があります。
いつか使えるだろうと思ってとにかく溜め込んでいくぐらいのラフさは必要ですが、活用することを想定して記録しておかないと、あとでうまくデータが使えません。
ではどうするか。
記録する情報によって、どのような形で保存しておけばいいのかを決めておくんです。
栽培記録のように、毎年の変化を追うことで過去の経験を今に活かせる情報は、その時系列変化を見られるようにエクセルのような表計算ソフトを使うといいでしょう。
労働時間の管理についても、表計算ソフトを使うと集計機能によって今後の労働管理を見直せたり、改善点が見つかったりします。
専用のソフトも探せば見つかるでしょう。
販売に関するデータは、金銭管理をするソフトがありますからそれを活用していくと、経営分析ができたり確定申告書類を自動的に作成できたりします。
機械やタネ、資材などの情報については、整理されていればもちろん情報を引き出しやすいですが、たとえばevernoteのようなクラウドサービスを使ってとにかくデータをそこに投げ込んでいくだけもかまいません。
キーワードだけ拾えるようにルールを決めておけば、情報は整理されていなくても問題ありません。
このように。
情報によって記録する媒体は変わってきます。
というよりも、それぞれの情報をうまく活用できるように媒体を変えるべきだと思います。
あとで活用することが前提。
活用できない情報は、いくら記録しておいてもゴミになってしまいます。
この情報は今後どのように活用できるのか、
を考えたうえで
どのように記録をすればいいのか
どの媒体で記録をすればラクか
といったことに頭を巡らせてみてください。
記録によって成長を促進する
販売まで手がける農家がやるべきことは多岐にわたります。
これはつまり、ただ生産だけをやっていればいいというものではなく、経営も考えなきゃいけないし、販売に関するいろんな業務もやらなければならないということ。
栽培以外にも情報・経験をたくさん手にできるということです。
その情報は財産です。
他の人にとってはどうでもいいつまらない情報かもしれないけど、自分にとっては次につながる貴重な経験値ですし、それの積み重ねが未来の自分を創っていきます。
目の前にどんどん降ってくる大切な情報。
これを無駄にしないためにも、忘れてしまわないためにも、とにかく記録をする。
どんな形で残しておくのかをしっかりと考えたうえで、効率よく記録する。
活用するための情報を記録していってください。