前向きなマイナス思考 足し算は簡単だが引き算は勇気がいる

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今回は栽培の話です。
算数の話ではありません。
数字はほとんど出てきませんから安心してください。

人は誰でも変化を恐れます。
なにか新しいことを始めるとき、新しいものを使うとき、失敗を恐れるあまり無難な道を選ぼうとします。
それが悪いわけではなく、ある意味での防御本能みたいなものなのでしょうがないんです。
だから。
変化は恐れるものとして、防御本能が働きにくい変化をしていきましょう。
そんな話になります。

 

ただ真似をすればいいわけじゃない

農業研修でよく陥りがちなのが、その研修先の農家が使っている資材・肥料・機械などをそのまま自分にも当てはめて、同じようなものを揃えようとすること。
牛フン堆肥を使っていたから自分もそれにしよう。
トラクターって便利だから自分も使いたい。
トマト栽培で2本仕立て誘引をしていたから、それを真似してやろう。
うまくいっている研修先農家の真似をすれば、同じようにうまくいくのではないか。
その成功にあやかって、自分も早く成功したい。
と考えます。

 

でも。
その研修先農家が、何故それを使っているのかを考えずにそのまま使うことは、かなり危険な行為です。
一つ一つの資材には、それを使う意味があります。
肥料にもそれを投入する意味があります。
使用している機械の種類やサイズ、仕様にも意味があります。
そのことを知らずに、ただ真似をしてもうまくいくはずがありません。
そして。
まず最初に、あれこれと真似をしてたくさんのものを投入したときに、
もしうまくいってしまったら・・・
毎年、それを使い続けなければいけないということになってしまいます。
だって考えてみてください。
うまくいった時に使っているものを引いてみる行為は、心理的にかなり負担が大きいですよ。

 

研修先の農家は、思考錯誤の末にいろいろな資材を使うようになったのかもしれません。失敗を繰り返しながらあーでもないこーでもないと思考錯誤して、たくさんの資材を使用するようになった。
だから、一つ一つの資材に込められている目的がはっきりしています。
使ったときの効果はもとより、使わなかったときの結果も知っています。
資材・肥料・機械などに無駄がありません。
もし研修先の真似をするなら、なぜそれを使うのかは、はっきりさせておくべきです。

 

機械の導入は慎重に

畝成型機

たとえば農業用機械。
多種多様な農作業をこなしてくれる機械はたくさんあります。

ネギの土寄せをする機械
ジャガイモの収穫をする機械
畝を立てる機械
条間の除草をする機械
肥料を散布する機械
収穫する機械

機械を購入する時は、もちろん費用対効果を考えて購入するとは思いますが、効果が高いからといってどんどん機械を導入していくと、いつのまにか機械だらけになってしまうことがあります。
労働時間全体の中に占める割合がそれほど大きくない、特定の作業を効率化するために、わざわざその機械を購入する必要があるのか。
その機械じゃなくても、今まで持っている機械で代用することはできないのか。
よく考えてみる必要があります。

機械化を進めていくことを否定するわけではありません。
機械化による恩恵は素晴らしいものですし、現代農業は機械なしでは成立しません。
とはいえ。
むやみやたらに機械化するのではなく、

一度買ってしまったらもうその機械なしでは経営が成り立たない

間違いなくそんな状態に陥りますから、機械の購入は慎重に事を運ぶべきだということです。

 

栽培はマイナス思考で

トマト多段栽培

栽培管理そのものについても例をひとつ。

栽培管理で、あれやこれやと手をかけて、それでうまくいった時にはその手順はすべて 外せないという心理状態に陥ります。

耕耘2回 → 畝立て → 定植 → 株元除草 → 支柱立て → 誘引 → 追肥 → 収穫

この流れで、高品質なものが収穫できれば、
「よし、次も同じ手順で栽培しよう」
「どの工程も手を抜くことはできないな」
と思いますよね。

このとき、
「うまくいったけど、除草するのをやめてみようかな?」
「追肥しなくてもちゃんと収穫できるんじゃないか?」
と考えられる人はそれほど多くありません。

もし栽培がうまくいかなければ、
違うものを入れてみようか?
それとも今のやり方が違うんじゃないだろうか?
と考えることになりますが、たいていは何かをプラスして改善を図ろうとします。
まさか手数を減らしてうまくいくなんて思いませんから。

なにが言いたいかというと。
資材・肥料・機械・栽培、なんでもそうですが、

プラスして改善をしていくよりもマイナスして改善していく方が難しい。

これは覚えておいて欲しいと思います

 

引算より足算のほうが気が楽

足し算引き算

じゃあ具体的にどうしたらいいかというと。
最初はなるべく手をかけないやり方からスタートする。
なるべく資材をかけないでやってみて、必要に応じて少しずつ足していく。
少ないところからプラスしていくと、そのうち落とし所が見つかります。


別の表現をすれば。
自分の農業経営にとって10がベストだとして、20からスタートして10に減らしていくよりも、1からスタートして10に増やしていくほうが簡単だということ。
足していく変化は怖くないですが、減らしていく変化は勇気がいります。
本当ですよ。

基本的に何かを足して物事がうまくいく事の方が多いですから、

何かを削ってうまくいく 

という感覚はなかなかつかめないのが普通です。
だからこそ、
引いていかなくてもいいように、最初から少ない手数でスタートする。
少ない資材でスタートする。
これが重要ではないでしょうか。

足りないぐらいで始めれば、そこから引くということもないですし、何を足してもそれなりに結果が変わります。
精神的には、足していく手法の方が結果的に効率よく成長できるのではないでしょうか。

 

原因と結果を結びつける

原因と結果

足すとか引くとか、意味が分からん!という方へ。
じつはまったく別の思考を持っていれば、足したり引いたりすることに意識を向ける必要はなくなります。

それは、

なんとなくうまくいった、をなくすこと。

それを使ったことによってどのように結果が変わったか、原因と結果がはっきりと結びつけることが重要です。
もちろん自然相手ですから、すべてを把握はできません。
でも出来る限り、結果に対する原因を追求していくべきだと思います。


ちなみに、一番良いのは実験区画を設けることです。
AとBの区画を用意して、
A区画 ●●資材を入れる
B区画 ●●資材を入れない
AとBは●●資材以外の要素は同じ
という比較栽培をすれば、原因と結果が割とはっきりと浮き彫りになります。
ABテストなどと呼ばれることもあります。

とにかく比較実験をしてその資材の有効性を身をもって体験すること。
面倒ですがこれを繰り返していくことで、一つ一つの資材や肥料の有効性を確認しながら進んでいくことができます。
そして最短で、少ない資材で最大の成果を得られるようになります。

まあ、比較実験をすると場所も時間も労働も余計にかかるので、個人でやっている小さな農家はあまり実行しにくいですけどね。

 

 

今回のチェック

●研修先農家の真似をするときは「なぜそれを使うのか」を明確にする

●引いていくよりも足していくほうが精神的にラク

●比較実験をしながら肥料や資材の有効性を確認する

 

 

 

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