全行程を把握したうえで目の前の作業をこなす

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農業の現場における仕事は多岐にわたります。
種をまくだけではなく、畑を耕したり肥料をまいたり、収穫をしたり、栽培管理をしたり。
出荷をすることだって農家の仕事です。
これら一つ一つの仕事は独立して成り立っているわけではなく、他の仕事と連動していることがほとんどです。
何か作業をする時に、次の工程その次の工程、もっと言うと全体を把握したうえで、いま目の前にある作業をこなす。
と言うことが非常に大切になってきます。
今回はそのあたりの話になります。

 

それぞれの作業を効率的にこなす

一つ一つの作業を効率的にこなす、そのための技術は世の中にたくさん溢れています。
種まきに関するアレコレ、耕耘に関するアレコレ、栽培管理に関するアレコレ。
農家に行けば栽培技術を学べますし、書籍や動画などでも学ぶことができます。
そこで教わることは非常に有益で、そのまま真似をすれば素晴らしい結果が得られるものだってあるかもしれません。
でも。
ただ真似すればいいというものではなく、

全体が見えてないと意味がない

ということは覚えておいて下さい。
一つ一つの技術を習得することと、全体を把握した上でその技術を使えるかどうか判断すること、は全くの別物だからです。
全体が見えなければ、せっかく教わった技術が使えないと言い換えてもいいかもしれません。

 

キュウリのタネ

例えば種まき
種を播く時には、決められた手順で、決められた基準に従って種を播くことはもちろん大切です。
ただし。
なぜ、その種をその間隔でまくのか。
なぜ、その深さで種を埋めるのか。
なぜ、種をまいた後に潅水するのか。
ということが見えていないと、そもそも種まき作業を1つを効率的にこなすことはできません。
もし収穫する時の状況が見えていれば・・・。
もしくは、
管理作業、たとえば除草作業をする時の様子を思い浮かべられたら・・・。
いま種をまくときに、どのように種まきしなければいけないかが見えてきます。
それは、間引き作業をスムーズに進めるための種を落とす間隔であったり、すじ播きをした時の除草作業がやりやすい条間であったり。
もっと言えば。
収穫時にどのくらいの大きさに揃っていれば、出荷調整作業が楽になるかを考えて種をまく。
ということも必要になってきます。

商品がお客様の手元に届くまでの事を想像し、そのために目の前にある作業をどのようにこなせば良いのか。
全体を把握することが作業をひとつひとつの効率を高めることにつながります。

 

黒マルチ

マルチを張るという作業でもそうです。
ただマルチを張ればいいというわけではなくて、裾にかける土の量をどうするのか。
どれくらいの土を寄せたらいいのか。
これは作業効率を考える上で非常に重要な問題です。
土をかけすぎれば剥がす時に大変です。
逆に、かける量が少なければ風で飛んでしまう、剥がれてしまう可能性が高くなります。


自分の置かれている環境に合わせて土質、気候、土の水分量などを考慮して、裾にかける土の量を加減していくことが求められます。
それは、片付けという工程を意識するからこその加減ですよね。

 

小松菜

ほかにもあります。
出荷作業において、たとえば収穫してきた小松菜の調整をするとします。
泥がついていれば洗わないといけないし、古く黄色くなった葉があれば落とさないといけない。
サイズにばらつきがあるならそれを考慮して選別する必要もあります。

ここで調整をもっと楽にしたいと考えるなら。
なにか小道具を使って作業スピードを速めるという方法があるかもしれません。
もっと大がかりに機械を導入して洗浄作業や結束作業、袋詰め作業を効率化する道もあるでしょう。
でも。
前工程を見直すことで改善できることだってあるはずです。
泥はねによる洗浄作業そのものをカットするために、雨が当たらないビニールハウスで栽培するとか。
黄色い葉がなるべくでないように、栽培での施肥設計を見直すとか。
サイズにばらつきが出ないように品種を変えたり、種まきでの株間をすこし変えてみるとか。
耕耘するときの深さ、ロータリの回転速度、車体の移動スピードなどをうまく調整することで圃場内のばらつきをなくすとか。

目の前の作業改善だけではなく全行程から見直していくと、やるべきことはたくさん見つかります。

 

全ての作業工程を意識すると見えてくるもの

ただ目の前の工程を効率よくこなしていく。
これでも十分に仕事としては成り立つかもしれません。
でもそれは、たんなる作業者としてのスキルにすぎません。
全ての作業工程を知ったうえで、後の工程を意識して目の前の作業をこなしていく。
管理者としての意識を持っていると、 一つ上のレベルの仕事を進めることが出来るようになります。

管理技術作業技術
農作業にはこの二つの技術が存在します。
作業技術というのは、いわゆる世間一般でいうところの農作業そのものです。
耕したり、タネを播いたり、苗を植えたり、草をとったり、収穫したり。
多少のコツはありますが基本的に単純な作業ばかりです。
覚えてしまえばスピードに差こそあれ誰でもできる作業です。
アルバイトで任されるのはこの作業技術の部分になります。

対して管理技術はその名のとおり管理する技術。
どこに何を植えるのか、どれくらいの施肥量で、どんなタイミングで耕すのか。
農作業そのものではなく、指揮権・決定権を行使する技術のことです。
誰にでもできる仕事ではありません。

農家になるということは作業技術と管理技術の両方を駆使して生産をするということ。
高原野菜のアルバイトで仕事が速いといって褒められたから農家になれるというもんじゃありません。
栽培管理できる能力が求められます。

そして、この管理技術は栽培全体が見えていないと、もっといえば経営全体が見えていないと使いこなすことができません。
農家として、自営業としてやっていくのであれば、磨くべきは管理技術
だということです。

 

全体が見えれば目の前の仕事が分かる

すべての作業はつながっています。
播種、定植、管理、収穫、片付け。
次の工程を意識すると今の作業をどのようにこなすべきか見えてきます。

出荷調整が大変だと思ったら栽培方法を見直してみる。
片付けが大変だと思えば前工程を見直してみる。
種まきに時間がかかりすぎていると思えば、その前の耕耘作業を見直してみる。
もしくは前作での草管理を見直してみる、など。
全ての工程作業がつながっているということを知っておくだけでも、栽培管理はまったく違ったものになると思います。
他人から教わった数字を、もしくは作業を、そのまま真似して使うのではなく。
その数字にどんな意味があるのか、その数字は自分にとってそのまま当てはめて良いものなのか。
その作業は自分にも当てはまるものなのか、もっと改善の余地があるのではないか。
という事を考えながら、一つ一つの作業にある疑問点を潰していって欲しいと思います。

 


今回のチェック

●全行程を把握したうえで目の前の作業をこなす

●仕事には管理技術と作業技術がある

●書籍などの数字、他人から教わった技術に疑いを持つ

 

 

 

 

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