セルトレイを選ぶだけで頭から煙が出る農業をやろう

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育てる作物の種類によっては育苗なんて不必要なものもありますが、けっこう多くの作物で育苗は欠かせない栽培技術になっています。
なぜ育苗が必要なのかは別の記事にゆずるとして、

夏野菜のポット育苗は本当に必要なのか

今回は育苗で使われているセルトレイについて詳しく書いていきます。

 

様々なセルトレイからどれを選んだらいいのか

セルトレイ

育苗でセルトレイは欠かせない道具です。
よい苗を育てるために生産者は、知識を蓄え経験を積み重ねて、育苗スキルを向上させていきますが、道具選びも無視できません。

ひとくちにセルトレイといっても様々で、セルにスリットが入っていて苗が抜けやすいように工夫されていたり、根張りをよくするための工夫がされていたり、セルトレイの色を黒意外にも用意して地温を操作できるようにしたり、販売業者も商売でやってますからあの手この手で売れるセルトレイをリリースしています。

このあたりはうまく活用して、良い苗を作るためにベストなものを選んでもらえればいいかなと思います。

とはいえ、おおまかな仕様はそれほど大きく変わりません。
穴が均等に空いていてそこに土を詰められるようになっている。
それだけのことです。
重要なのは、詰められる土の量
これが育苗できる期間、苗のサイズに大きく影響してくるからです。
つまり、セルトレイ選びでもっとも迷うのが穴のサイズだということになります。
128穴なのか、200穴なのか。
72穴なのか、50穴なのか。
一般的にキャベツなら128穴で育苗することが多いようですが、それをそのまま真似していいのか。
なぜ128穴が一般的なのか。
といったことを考えなければなりません。
本質が見えないと応用ができませんし、そこにはいろんなポイントが隠されているからです。

 

書籍の理想は必ずしもベストではない

セル苗

サイズを決めるために考えるべきことはひとつだけ。

どんな仕上がりを望むのか。

それだけです。

苗をどんな姿で畑に出したいのか、それさえ明確なら答えは見つかったようなものです。

 

書籍などではよく、本葉が●枚でていて軸がしっかりしているもの、といった表現がされていますが、それがまさに理想とする姿。
だと思っていただければ大体あってます。
広く見られるお手本となるべき書籍は、そんなに的外れなことは書きませんから。

ただし、それが必ずしも自分にベストだとは思わないほうがいいです。
書籍に書かれていることは、植物を育てるという点においてベストな苗の姿を表現しているかもしれませんが、農業経営を考えているかといえば怪しいところも多いからです。

農業は、あくまでも業であって、利益を追求するべき。
ただただ良いものを育てたい、という職人思考だけでは農業とは呼べません。

自分の置かれている環境を考慮して、金勘定をして、自分にとってベストな育苗を選択しなければ、育苗をやればやるほど苦しみが増していきます。

 

育苗でもやっぱり経営を意識する

というわけで。
経営を意識した育苗のあり方について、ポイントを押さえていきましょう。
まずは育苗をする目的を考える必要があります。

虫害を回避したい
収量を最大化したい
圃場の回転(利用率)を上げたい

大体こんな理由で、わざわざ手間をかけて面倒な育苗をします。
畑に直接タネを播いてしまったほうがラクなのに、なんでわざわざ育苗をするのか。
それは、作物の在圃期間を短くすることで虫害のリスクを減らし、在圃期間が短いことで一年で何作も作付けが可能になり、結果的に全体として収穫量を最大化できるから。

でも、これだけでは不十分。
とにかく在圃期間を短くしたいなら、ポリポットで大きな苗をつくればいいだけですから。
でもポリポットで育苗すると、ポットに入れる土の量はかなり多くなるし、1苗あたりの面積が増えるので育苗スペースをかなり必要とします。
潤沢な資金と広い育苗設備が整っていればそれでもかまいませんが、たいていは限られた資源の中でなんとかやりくりするでしょうから、その環境の制限内で育苗を余儀なくされます。

つまり。
育苗をする目的を考慮すれば、育苗期間は長ければ長いほうがいい。
でも資源に制約があるので、どこかで折り合いをつけていかなければならない。

ということですね。

これで欲しい苗の姿が見えてきます。
仕上げたい苗の姿が見えれば、あとは環境を整えてその苗をつくっていくだけ。
そこに影響する要因は、育苗技術はもちろんそうですが、土の量と種類がほとんどすべて。
つまりセルトレイの種類育苗培土の種類
この2つが結果を大きく左右します。

 

インフラに依存する

理想とする苗をつくりあげるために、かぎりなく資材を使いまくっていい農家はほとんどいません。
だからこそ、最小限のコストで最大限の成果を得るために、セルトレイを選び、土を選ぶんです。

では何を選べばいいのか。
これは正解がありません。
それぞれの農家が、どんな苗をつくりたいのかという目標を達成できるものを選ぶだけ。
そしてかけられるコストによって使い分けるだけです。

制限される要素としては、育苗ハウスの大きさと培土の価格
この二つが大きいですね。

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どのくらいの広さのハウスを持っているかによって、選ぶセルトレイが変わってきます。
どでかいハウスがあって、温床を広く用意できるなら、べつにキャベツをポリポットで育苗してもいいですし、50穴くらいのサイズ大きめセルトレイを選んでもいいと思います。
セルトレイをたくさん並べられるので。
(ただし育苗面積が増えると管理も大変ですが)

でもハウスが大きいからといってセルサイズを大きくすると、ひと株あたりの土の量が多くなる。
このとき、高価な培土を使っていればコストが跳ね上がってしまいます。
だから、土の量をなるべく抑えるためにセルサイズを小さくするか、自分でブレンドした自家製培土を使って培土コストを下げるか。
コストを考えた選択を迫られます。

みかど培土
(画像参照:EM研究所 種まき培土

高ければいい培土というわけでもありませんが、少ない培土量でも安定して苗を作れるところに購入培土の魅力があります。
すべては培土次第ですが、たとえば128穴トレイでキャベツを育苗してちゃんと望むサイズまで苗ができたのであれば、その培土に合っているのは128穴トレイです。
もしうまく育たなかったなら、72穴トレイにしたほうがいいのかもしれません。
まあ、たいていは128穴トレイを使うことが多いので、128穴でしっかり肥料が切れずに最後まで育てられる培土を選ぶ、という流れのほうが自然です。

 

自分でいくつか資材を買ってきて、それをブレンドできるならそのほうが安上がりです。
温床育苗するときに踏み込み温床をしているなら、その床土を育苗で利用できるのでコストは限りなく抑えられます。
この場合は培土のコストをあまり気にしなくてもいいので、セルトレイは72穴とか50穴とか大きめでいいでしょうね。
でも、自家製培土を作るにも当然ですが知識や経験がいります。
安定して結果を出せる培土をつくるまでにはそれなりの技術が必要ですので、ちゃんと教わっているか、がっつり勉強しているか、自信がなければ培土は購入したほうが無難だと思います。
もちろん購入しつつも同時に自家製培土を作り続けるのは、将来を見越した取り組みとして最高です。

 

ちなみに。
コスト面での判断ばかり書いていますが、セルトレイの数が増えると運搬が大変になること、培土をセルトレイに詰める作業や水やり作業が増えること、などの労働コストも考慮しておくことは忘れずに。

 

頭を使った農業はバカにはできない

よくホームセンターなどでキャベツやブロッコリー苗がポットで売られていますが、あれは贅沢の極みです。
だって苗を100円で買って手間隙かけて育てて、いったいいくらで売るつもりですか?
スーパーでは100円とか150円といった価格でキャベツやブロッコリーが並んでいるのに、100円で苗を買っていたら割りに合いませんよね。

これはかなり極端な例ですが、利益を追及するプロ農家ならコストを意識して育苗すべきです。
欲しい苗の姿があり、かけるべきコストには限りがある。
限られたスペース、資金のなかでどこまで理想を追求できるのか。
どこに落としどころをもうけるのか。
その手腕が問われます。

 

セルトレイのサイズひとつを決めるだけでも、これだけ考えなければならないのが農家です。
とにかく頭を使って考えて、自分にとってのベストを探していくと、どんどん収入がともなう優秀な農家に近づいていきます。
考えて動かなければ、いつまでたっても同じ場所に立ったまま。
バカには出来ない、頭を使った農業をやっていきましょう。

 

 

 

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